私がC印刷会社から相談を受けた際、45分という限られた時間の個別相談会でしたので、以下のような簡潔な口頭説明に留まりました。
その内容を要約してご説明します。
「多くの方が、ネット通販は実店舗での販売よりも簡単だと誤解していますが、実際はその逆が真です。ネット通販事業は、店舗運営よりも遥かに高度なマーケティング能力を要求し、関わる人々の労力も相当なものです。特に労働時間は不規則で厳しい環境になりがちです。ネット通販が店舗販売に対して優位な点は、店舗設営に比べてネット通販サイトの構築に必要な初期投資が格段に少ないことくらいです。それ以外の面では、手間と費用がかかり、非常に難しい事業形態と言えます。」
このように、ネット通販の実態は、儲からないのが一般的です。もちろん、大ヒットして大儲けしている通販サイトも実際には存在します。しかし、それはごく少数の事業者に過ぎません。ほとんどのネット通販事業は赤字か、せいぜいトントンの状態です。
通常の物販を対象としたネット通販でも、非常に難しいのです。
特に、印刷のネット通販は、さらにハードルが高くなります。前回、印刷特有の事業形態をご説明しましたが、印刷は典型的な受注製造サービス業です。受注する案件の仕様は一つ一つ異なります。用紙、サイズ、色数、ページ数、インクの種類、製本方式、納期、すべてが異なります。これを効率よく処理するには、高度な管理システムと適切なスタッフが必要です。つまり、初期投資が高くつくのです。
さらに、市場はすでに大手のネット通販サイトが占有しています。この牙城を崩すには、相当な差別化が必要です。いずれにせよ、ハードルは非常に高いのが実情です。
しかし、ネット通販が全く無意味というわけではありません。適切な方法で行えば、ネット通販は確実に収益を増やす事業体になり得ます。特に、地方の中小規模の製造業やお店には適しています。
実店舗を運営している事業者であれば、既存の設備や人材を活用し、余剰な労力をネット通販に振り分けることが可能です。通販用の商品も、パッケージングの工夫で対応できます。
そして、ネット通販のための初期投資は、サイト構築費用、商品のパッケージング、その他の雑費で、数十万円もあれば十分です。個人店であれば、10万円+α程度でも可能です。
つまり、実店舗での売上に加えて、わずかでもネット通販からの売上が見込めるのであれば、ネット通販は売上拡大のための最良の施策です。
しかし、実際に取り組むとなると問題もあります。その中で最も大きな問題は、経営者の年齢です。中小規模の製造業やお店の経営者の中には若い方もいますが、年齢が高くなると、現実はそう簡単ではありません。
そこで、考えられるのがネット通販支援サービスです。この支援サービスに最も適した事業者は、実は印刷会社です。
私がC印刷会社に薦めた事業は、この「ネット通販サポート」事業です。この事業は、自社でネット通販を行うのではなく、既にネット通販を展開している企業や商店、またはこれから始める企業・商店、あるいは現状の売上低迷に悩む企業・商店への売上支援活動として、ネット通販支援を提案するものです。
次回は、この「ネット通販サポート」事業について詳しくお伝えします。