近年、マーケティングというと「WEBマーケティング」、「デジタルマーケティング」、そして「DXマーケティング」などの言葉が頻繁に登場しています。しかし、マーケティングの具体的な意味や、営業との違いについてはしばしば明確でないと感じられます。実際、マーケティングの概念は専門家の間でも解釈が異なることがあり、そのために、マーケティングは曖昧なイメージを持たれがちです。
そこで今回、私の理解に基づく「マーケティング概念」についてお話しします。
<以下、私のマーケティング概念です>
マーケティングは、商品やサービスを提供する側と、それを求める側とが出会い、商品やサービスを等価価値で交換する機会を効果的に創出する全ての活動を指します。これには、適切な商品の開発と生産、価格設定、広告戦略、販売場所の選定、そして納品方法など、一連のプロセスが含まれます。これが私の考えるマーケティング概念です。しかし、この説明だけでは抽象的で理解しにくいかもしれません。
そこで、消費財メーカーと生産財メーカーの2つの具体的な事例を通じて、マーケティングの概念をさらに明らかにします。
(1)消費財メーカーの事例:
例えば、消費財メーカーとして、スマートフォン製造会社「A社」の事例を見てみましょう。
「A社」は、新しいモデルを市場に投入する前に、市場調査を行い、顧客が求める機能を把握します(プロダクト)。そして、適切な価格を設定し(プライス)、テレビ広告やSNSで新モデルを宣伝します(プロモーション)。A社は自社の店舗やオンラインストア、他の電気店でスマートフォンを販売します(プレイス)。さらに、顧客サービス担当者を通じてサポートを提供し(ピープル)、効率的な販売プロセスを設計して顧客が簡単に購入できるようにします(プロセス)。最後に、高品質のパッケージングやアフターサービスを提供し、顧客に製品の価値を示します(フィジカルエビデンス)。
マーケティングは、A社が顧客のニーズを理解し、満たし、顧客と良好な関係を築くためのさまざまな活動を含んでいます。
(2)生産財メーカーの事例:
次に、生産財メーカーとして、ネジ製造会社「B社」の事例を見てみましょう。「B社」は、まずお客様のニーズを調査し、その要求に応じてネジを製造します(プロダクト)。そして、お客様が納得できる価格を設定し、大量購入するお客様には割引を提供します(プライス)。新しいネジが製造されたら、展示会やインターネットで広告を出し、お客様に新しいネジを知らせます(プロモーション)。販売については、直接販売と他の店舗を通じての販売の両方を考慮します(プレイス)。B社の営業チームは、お客様と積極的にコミュニケーションを取り、ニーズを理解し、提供します(ピープル)。また、お客様が簡単にネジを注文し、受け取れるように効率的な方法を考え、使いやすいシステムを構築します(プロセス)。最後に、B社はネジの品質を示す証明書や、過去の成功したプロジェクトの情報を提供し、お客様にネジの品質を信頼してもらいます(フィジカルエビデンス)。B社は、このようにしてお客様に満足を提供しながら、ネジを販売し、ビジネスを拡大しています。
上記の2つの事例で触れた「プロダクト」「プライス」「プロモーション」「プレイス」「ピープル」「プロセス」「フィジカルエビデンス」の7つの要素は、マーケティングの7Pとして知られ、マーケティングの成功には欠かせない要素です。
これで、マーケティングについての基本的な理解を深めることができましたでしょうか?それとも、さらに混乱してしまったでしょうか?
少なくとも、マーケティングは事業活動そのものであることを認識していただければ、このコラムの目的は達成されます。マーケティングは事業活動の核心であり、営業活動もその一環です。この点を理解することで、企業の経営トップがマーケティングを統括し、指揮を執るべきであることが明らかになります。特に、中小企業の経営者は、マーケティングの重要性を理解し、積極的に実行する必要があります。