閑話休題

連鎖倒産の危機に見舞われたケース

前回のお話の続きとなります。(前回の記事

今から20年以上前、1990年代までの企業間の取引においては、多くが手形による決済が主流でした。この流れは、当時私が経営していた会社と倒産した広告代理店S社との取引にも当てはまっていました。私の会社では、顧客から受け取った手形を主な外注先に対し、裏書きを行って手形を流通させていました。

しかし、S社が倒産した翌日には、この情報が外注先に伝わってしまい、外注先からは我先にと私の会社に押しかける者が現れました。彼らの要求は明確で、「この不渡り手形を引き取って、今すぐ現金決済してほしい」というものでした。事実、強い口調で強要される場面もありました。

こうなると、これまで「社長、社長」と私に敬意を表していた外注先の営業担当者も、手のひらを返すように、「お前、この不渡りになった手形、一体どうしてくれるんだ!今すぐ、現金をよこせ!」といった脅すような口調に豹変しました。この瞬間、私は世の中の厳しさと冷たさを改めて感じました。しかし、萎縮するわけにはいきません。私は、その場で何とか状況を収め、押しかけてきた外注先の人々に帰っていただきました。そして、1人で会社に残り、冷静に現状の財務状況を把握し、これから入ってくる予定の売上金と支払い予定金額を時系列で洗い出しました。その結果をもとに、翌日には再建計画書を作成し、当時私の会社のメイン金融機関であった信用金庫の支店長に面会し、必要資金の借入れを申し込みました。

この素早い対応と、これまでの信用金庫との良好な関係が功を奏し、要望した借入金額の満額を認めていただくことができました。これにより、当座の倒産危機は何とか回避できました。次なるステップは、失った売上を取り戻すために全力で新規開拓に取り組むこと。日夜を問わず新規開拓を実行しました。(この時期に実施した新規開拓の方法については、後日このブログの新規開拓実践編で詳しくご説明します。)

結果として、わずか1年後には、新規開拓の努力が実を結び、S社の失った売上を大きく上回る新規の売上を獲得することができました。外注先への不渡り手形も、決済期日ごとに順調に決済処理し、数ヶ月後にはすべての不渡り手形の決済を完了させることができました。(もちろん、態度が豹変した外注先との取引は終了し、新たな信頼できる外注先を見つけました。)

そして、それから5年後には、金融機関から借り入れた資金をすべて完済し、完全な無借金経営を実現するこ

とができました。このS社の倒産騒動は、私にとって大変貴重な経験となりました。これを通じて、新規開拓の重要性、そして新規開拓が企業の持続的な繁栄をもたらす唯一の方法であることを痛感しました。それ以降、私は新規開拓の研究と実践を続け、このノウハウを提供する会社を新たに設立する決断をしました。その会社こそが、現在のアンツ・コンセプトです。

※2004年にマーケティング支援及びコンサルティング事業を目的として有限会社アンツ・コンセプトを設立し、2011年には、1990年より経営していた広告制作会社の有限会社ロコ・エージェンシーを吸収し、新たに株式会社アンツ・コンセプトを設立しました。それが現在のアンツ・コンセプトの起源となり、このような形でビジネスの進化を遂げてきました。

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