閑話休題

最初の商談では、余計な話はするな!

1. 初めてのお客様の商談では、聞き役に徹しよう。
初めてお会いするお客様とのお話は、これからのお付き合いにとってとても大切な第一歩ですね。特に心がけたいのは、お客様のお話に耳を傾けること。たとえば、私たちのダイレクトメールやWEB広告を見て、製品やサービスに興味を持っていただいたお客様からお話を伺う機会をいただいたら、可能な限り直接お伺いします(もちろん、オンラインでのご希望があれば、その形式に合わせますけど)。そして、約束の時間にお伺いし、名刺交換を済ませたら、さっそく「なぜ私たちを選んでくれたのか?」その理由をお聞きします。この時、お客様のお話にじっくりと耳を傾けることが大切です。もちろん、お話の内容を一つも見逃さないようにしっかりと聞きますし、わからない点があれば、さらに質問させていただきます。

では、なぜ最初のお話では聞き手に徹するのでしょうか?それは、相手が私たちの商品やサービスにどの点に興味を持たれたのか、どんな基準で選んでいただけるのか、競合他社はどのくらいいるのかなど、お聞きすることで、次のお話での具体的な提案を考えるためです。でも、実はもっと大切な目的があります。それは、私たちと私たちの担当者への信頼感を深めること。お客様に「この人なら信頼できるかも」とか「この会社なら大丈夫かも」と感じていただくことが、何よりも重要なのです。だからこそ、心からお客様のお話に耳を傾けるんですね。

聞き手に徹するといっても、お客様からは「貴社の商品やサービスの特長は?」「従業員は何人くらい?」など、基本的な質問が飛んでくることもあります。そんな時でも、満を持して商品やサービスの詳細を語るのではなく、アプローチブックをお渡しして、3分以内に簡潔にお答えするのがポイントです。アプローチブックの内容については、また後ほどお話ししましょう。

初めてのお話は、できれば30分以内にまとめるのがベストです。私の経験上、長くなりすぎると、せっかくの良い印象が少しずつ変わってしまうこともあるためです。それに、お客様の貴重な時間を取りすぎてしまうのも、ビジネスパーソンとしてあまり良いことではありません。

2. 商談に慣れると成約率が下がる不思議
商談に慣れていない初期の頃は、取引が意外にもスムーズに進み、高い成約率を達成できたのに、営業に慣れてくると、なぜか成約率が下がってしまうことがあります。

営業キャリアのスタートでは、多くの人が「慣れ」と成約率の変化に直面します。最初は、緊張感と熱意が入り交じって、お客様への真摯な姿勢が自然と伝わり、予想外にも成約率が高くなります。しかし、時間が経ち、経験を積むにつれて、この熱意が薄れ、手慣れた営業トークに陥りがちになると、成約率が下がるという現象に直面します。

この背景には、初期の頃はお客様一人ひとりへの深い関心と、お客様のニーズを理解しようとする姿勢がありました。しかし、経験を積むうちに、知らず知らずのうちに「既に知っている」という思い上がりが生じ、お客様が本当に何を求めているのかを見落とすことが増えます。このようになると、お客様からの信頼を損ない、最終的には成約率の低下を招くことになります。

このような問題を解決するには、いつでも初心を大切にし、お客様の話にしっかりと耳を傾けて寄り添うことが大切です。また、定期的に自分の営業スタイルを見直し、お客様に対して常に新鮮な気持ちで接するよう心がけることが重要です。営業とは、単に商品やサービスを売ることだけではなく、お客様との信頼関係を構築し、お客様のニーズにぴったり合う解決策を提供するプロセスです。この基本を忘れずに、日々の営業活動に臨むことが、長期的な成功へのカギになると、少なくとも私は考えています。

3. 最初の商談は、信頼感の醸成と宿題をもらうこと
最初の商談は、単なる商品やサービスの紹介以上の意味を持ちます。この貴重な時間を活用して、お客様との信頼関係を築く土台を作ることが何よりも重要です。信頼関係が商談の成果に大きく影響を及ぼすからです。お客様が自社や営業パーソンを信じられると感じる瞬間から、商談は成功に向かって大きく進みます。

この信頼を築くためには、誠実にお客様の話に耳を傾け、そのニーズや懸念を真剣に理解しようとする姿勢を見せることが、何よりも重要です。もちろん、お客様の属する業界や商品・サービスに関する基礎的な知識は事前にリサーチしておくべきなのは、言うまでも有りません。

また、初回の商談では次回に向けた「宿題」をいただくことが大切です。

最初の商談で、信頼感を醸成しながら質問の中で、お客様のお困りごと、問題、課題を引き出すのは、すべて、次回の商談へのステップであり、この「宿題」をいただくことが目標です。

繰り返しになりますが、そのためには、事前にお客様の状況を下調べしておくことが重要です。そして、多くの場合、お客様ご自身が、顕在化した問題に対する解決の方向性を、すで掴んでいるものです。ですので、初回の商談では、お客様が考えている解決の方向性、あるいは解決策を聞き出すことが、次回の商談を成功に導く大きな鍵になります。

このように宿題が明確になるステップの中で、お客様とお信頼関係を構築していくように心がけることが成功につながる早道となります。

4. 最初の商談で効果を発揮するアプローチブック
最後に、セクション1で述べましたアプローチブックについてご説明します。営業マンが最初の商談で配布する効果的なツールが「アプローチブック」です。

アプローチブックの役割と目的
アプローチブックの根本的な役割は、初めてお会いするお客様に対し自社の営業方針や価値観を伝え、提供する商品やサービスを通じてどのような価値を提供し、どのような問題や課題を解決できるかを簡潔に提示するツールです。形式としては、個々のお客様ごとに内容をカスタマイズして、配布するお客様にフィットさせることが必要です。また、長々と説明するものではなく、長くても5分、可能でなら3分以内に、読み飛ばせるような簡潔性が求められます。

また、間違ってもアプローチブックでは、商品・サービスの宣伝をしてはだめです。商品・サービスの説明欄には、あくまでもお客様の何を可決するのか?というコンセプトを示すのみに留めてください。

この点が、商品やサービスの特徴をアピールする通常の営業パンフレットや会社の事業規模や歴史などを披露する会社案内との大きな違いです。

※蛇足ですが、アプローチブックをPDF化してタブレットで見せながら説明する場合でも、必ず紙にプリントしたものを配布してください。アプローチブックは、その商談に対応したご担当者様が、上司への報告や社内稟議など、様々なケースで利用できることを配慮するためです。また、ご担当者様が、上司に口頭で報告する場合でも、このアプローチブックを参照することで的確な報告が可能となります。そのためにも、アプローチブックでは、簡潔な表現でシンプルに作る必要があります。

プリントする場合は、通常のコピー用紙ではなく手触り感がよくインクの発色も綺麗な用紙を使うことをお薦めします。

関連記事

TOP