閑話休題

DX&AI化時代の繁盛の鍵は、接客サービスにあり!

デジタル化とAI導入による接客サービスの喪失
私たちの生活は、あらゆるモノやコトのデジタル&AI化により、気が付けば大きく変貌を遂げています。昔ながらの利便性など考えられなかったような新たな快適さを、私たちは今、当たり前のように享受しています。
その最たる例が、スマートフォンではないでしょうか。通話機能だけでなく、目的地への案内や気になる情報の検索まで、あらゆることがこの小さなデバイス一つで可能になりました。でも、デジタル&AI化によって得たものがあれば、失ったものも確かにあります。言い換えれば、デジタル&AI化の誤った活用により、かつては良いと思われていた多くのことが、今では失われつつあるように感じています。
その典型が、飲食やその他のサービス業での変化です。

和食の高級店におけるデジタル化とAIへの期待外れ
先日のこと、長らくの間、懐かしい味わいと共にゆっくりとお酒を楽しむべく、高級感あふれる割烹風の居酒屋に足を運びました。個室制のその店は、周囲を気にせずに美食を楽しめることから、わくわくしながら予約を入れ、訪れたのでした。
店内に一歩足を踏み入れると……驚くべきことに、「いらっしゃいませ」という声もなく、慌ただしく料理を運ぶ和服姿のスタッフの姿が。しばし待つうちに、私の存在に気付いたスタッフが予約の有無を尋ね、「はい、予約しています」と答えると、「少々お待ちください」とのこと。そしてようやく席へ案内されました。
早速、料理を注文しようとメニューを手に取ると、目の前にはタブレット端末が置かれていました。そう、最近のチェーン店やファミレスで見かける注文用タブレットです。まさかとは思いましたが、割烹店までもがこの注文方式を採用していたので、驚きと同時に、何とも言えない失望感を覚えました。
店内の装飾は洗練されており、料理の盛り付けも美しく、味も概ね満足のいくものでしたが、スタッフの心遣いが感じられない接客や、タブレットによる自助式注文は大いに残念でした。

デジタル技術とAIの活用法、見直しは不可避?
私は、DXやAIの進化そのものを否定するわけではありません。事実、その便利さを積極的に享受したいと考える一人です。
でも、飲食やサービス業におけるその活用方法には、大きな誤解があると感じざるを得ません。会計処理や従業員のシフト管理、原価管理など、店舗運営の効率化に寄与する場面では大いに活用すべきです。でも、お客様への直接的なサービスに関しては、生身のスタッフによる心遣いが必要です。それが真のサービスと言えるのではないでしょうか。
本来、飲食店のサービスとは、お客様に快適で幸福な時間を提供すること。余計な手間をかけさせず、不快感を与えないことが基本中の基本です。もちろん、料理やサービスの価格に応じたサービスの質の差はあるでしょうが、その原則は変わりません。

現在、飲食業界は深刻な人手不足に直面しています。それが、セルフ注文のタブレット導入の一因かもしれません。でも、これまで従業員に対する適切な扱いや教育を怠った結果とも言えるでしょう。コスト削減のために安価なアルバイト労働力を利用し、高い人材の入れ替わりを容認することが、接客の質の低下を招いているのです。そして最終的には、DXやAIによる顧客自身の注文という形に落ち着いてしまいます。既に、配膳ロボットが活躍するファミレスも見られるようになりました。

接客のプロフェッショナル、今こそ彼らの時代が到来
学生時代にアルバイトをしていた頃の経験から言えば、接客スタッフは顧客の注文を正確に聞き取り、迅速に配膳し、いら立ちを感じさせないようにしていました。彼らは常に店内全体を見渡し、顧客が手を挙げれば迅速に対応しました。このようなプロフェッショナルな接客が、その店の繁栄に大きく寄与していたことは明らかです。
DXやAIのさらなる進展と共に、自動化された経営が主流となるでしょう。しかし、同時に人間特有のサービスの質が問われる時代が来ることでしょう。このような時代には、接客のプロフェッショナルが非常に重要になります。そして、どのサービス業も高い報酬をもって彼らを迎え入れようとするはずです。
もし私が20代であれば、間違いなく接客のプロを目指すことでしょう。

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